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鴻巣市では、平成19年度から平成26年度にかけて、平成17年に国の重要文化財に指定された「生出塚埴輪窯跡出土品」の中から、33体について株式会社京都科学に委託し修復を行いました。
きれいに修復され、見違えた埴輪は現在、クレアこうのすの歴史民俗資料コーナーに展示されていますので、市の文化遺産を皆様もぜひご覧ください。
なお、本事業は国庫補助事業として実施されました。
作業対象である埴輪は、10年以上前にセメダインを使用して各破片を接合して、欠損部分を石膏で復元されましたが、経年変化によりセメダインの本来の接合力が失われつつありました。そこで、今回の修復ではセメダインや石膏を資料が損傷しないように除去し、替わりに形状安定性のあるエポキシ樹脂を使用して接合作業を行いました。
復元に際しては、実物資料と違和感がないようにできる限りの文様・製作痕の形状を表現し、着色には水性アクリル塗料を使用しました。また、復元箇所の彩色は、実物資料との境目が判別しやすいようにしてあります。
修復方法に関して、実物資料を詳細に観察しながら、各破片の接合関係・欠損箇所の状況を調査して、十分な打ち合わせを行いました。
実物資料搬出の際と作業着手前に、修復前写真、各破片の現在の状況をデジカメや6×7による写真撮影を行い現状を記録しました。
修復前写真
表面に付着している埃等を表面の顔料を落とさないように注意しながらクリーニング作業を行いました。
資料の解体はアセトンの雰囲気の中で接着剤をゆるめ取り外しましたが、雰囲気中で解体できなかった部材については直接筆等で挿入しました。
解体・石膏の除去が実物に影響を与える可能性のある場所に関しては作業を最小限に抑えましたが、一部は人為的に削り、実物と切り離しました。
解体作業
クリーニング
実物資料同士の接合に可逆性を考慮して、パラロイドB-72の20%溶液を使用して仮接着し、接合面のひずみ等確認後、位置等を確認し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂で本接合を行いました。
接合・組立作業
各個体に応じて復元箇所を協議の上で決め欠損部をエポキシ樹脂で復元し、表面と同様に沈線・刷毛目等の加工痕を表現しました。なお、割損部については一部充填してあります。
復元・目地埋め
外観は、実物資料と違和感のない様に、水性アクリル塗料で樹脂復元部の彩色を行いました。実物資料の質感を表現しています。
彩色
デジカメ、6×7による写真撮影を行い、完成写真を記録しました。
完成
修復前
修復後
修復前
修復後
修復前
修復後
修復前
修復後
修復前
修復後
修復前
修復後
修復前
修復後
修復前
修復後
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修復前
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修復後
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修復後
修復前
修復後