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ひな人形製作の真髄|変えることと変えないこと

ページID:0011062 更新日:2023年2月28日更新 印刷ページ表示

鴻巣は約400年の歴史を誇る関東有数のひな人形の産地です。創業100年以上の人形製作・販売専門店「広田屋」の4代目、斎藤さんは3カ月前に店を継いだ若きリーダー。まちの伝統産業を継承するなかで、大切にされていることや、今後の展望について伺いました。

 

斉藤さん

【プロフィール】

斎藤雅義さん(46歳)
※2022年11月インタビュー時

 

老舗を継ぐ覚悟

展示されたひな人形の写真
​市内最大の売り場面積を誇る店内。ひな人形が展示されている2階には大きさも表情もさまざまなひな人形が数多く並んでいて、圧巻の迫力

 

いつ継がれたのですか?

代表になったのはつい3カ月前です。とは言いながらも20代後半で店に入りましたので、もうかれこれ20年以上人形製作や販売に携わっています。

 

継がれたときの決意を教えてください

曽祖父が作った広田屋という屋号を守るのは当然でした。昨今の少子高齢化、コロナ禍という特殊な時代背景があるなかでも、変えないことと変えることを両立させながら、人形屋を頑張っていきたいと思いました。

 

時代に合わせて徐々に変化が

淡い色味のお雛様とお内裏様の写真
​お殿様とお姫様だけの親王飾りが主流で、衣裳は白や紫など淡い色味が人気

 

約400年の歴史がある鴻巣雛の特徴を教えてください

鴻巣雛のルーツは京都なので、顔が面長で切れ長の目が特徴です。一方、関東のひな人形は丸顔で目が大きいのが特徴で、顔のタイプがまったく違います。鴻巣雛は徐々に関東の影響を受け、今ではほとんど見分けがつかないくらいになっています。当店では江戸時代に作られたひな人形を展示していますので、ご覧いただければ、表情の違いがよく分かると思います。

約300年前に製作されたひな人形の写真
​1階に展示されている約300年前に製作されたひな人形

 

最近はどのようなひな人形が人気ですか?

住宅が昔に比べコンパクトになったことで、お殿様とお姫様だけを飾る親王飾りがメインになっています。また、家の様式が洋式に変わったことにより、台や屏風が昔は黒や金色だったものが白木などに変わり、フローリングなどに合わせやすくなっています。衣裳の色味も今までは赤や紺が主流だったのですが、淡い紫や白へと変わっていますね。

私が子どものころは七段飾りや五段飾りなどの大きいものが一般的だったのですが、今ではほとんど出なくなりました。サイズも小さくなっていて、幅が小さくても90cmくらいだったものが、最近では40cm以下というものも登場しています。小さくて質の高いものが人気ですね。

 

人形製作で変わったところはありますか?

軽量化や、職人の減少に伴い作業の効率化などが行われています。頭部ですと、昔ながらの桐塑頭(とうそがしら)という作り方から、石膏頭(せっこうがしら)という作り方に変わっています。

桐塑頭は、1カ月以上もかけて丁寧に仕上げていく作り方です。口や鼻、目などすべて手作業で作っていきますので職人技が光る伝統的な製法です。

一方、石膏頭は目や鼻、口など顔の細部まで作り込んだシリコンの型に石膏を流し込む方法です。仕上げで細部を調える必要はありますが、桐塑頭よりも早く比較的簡単に頭部を製作することができます。

 

これからも変わらないこと

ひな人形の写真
​職人がひとつひとつ心を込めて作っている

 

関東有数のひな人形の文化を育んできた街と今後どのように関わっていきたいと思いますか?

伝統は伝統としてしっかりと守りながら、今の時代の流れに沿って、例えば衣装の色味や飾り方などにおいて斬新なひな人形を作っていきたいですね。

幼いころから七段飾りなど大きなひな人形に親しんできたので、住宅事情などでひな人形がコンパクト化していくのは寂しい気持ちもありますが、時代の流れに抗えないところもあります。ひな人形は家族みんなでわいわいしながら飾るというのも楽しみのひとつです。そんな文化を残していきたいという思いもあり、小学校での人形教室のほか、当店では毎年7月に人形教室を開催しています。石膏の人形に和紙や金襴(きんらん)などを貼る木目込ひな人形などを職人と一緒に作ります。また、11月の人形感謝祭や2月の鴻巣びっくりひな祭りなどのイベントで人形文化を広めていきたいですね。

店舗裏にある工場の写真

 

今後どのような店作りをしていきたいですか?

Web販売やVRなど、来店しなくても購入いただける新しい技術はたくさんありますが、職人が心を込めて作るよいもの、質の高いものは実際に店で見てもらいたいですね。お雛様の表情は少し上から見たときと、正面から見たとき、そして下から見上げたときなど、少し角度が違うだけでも表情はガラリと変わります。この違いを実感していただいたり、近寄って細部をじっと見ていただいたりと、実際に自分の目で見ることで分かることは多いと思います。

当店にはたくさんの職人がいます。自分たちにしか作れない「オリジナル」にこだわって人形作りをしていきたいですね。

上から見たひな人形の写真
正面から見たひな人形の写真
​角度を変えてみると表情がかなり変わる

 

広田屋(ひろたや)

お店の外観写真

店頭には、一度渡ると一年長生きできるという「長寿橋」があります。

 
住所 埼玉県鴻巣市人形1-6-18
交通 JR高崎線鴻巣駅東口から徒歩20分
連絡先 048-541-8888
時間 9~18時(5~10月は9時30分~17時)
定休日 無休(5~10月は月曜)
駐車場 50台
URL https://www.hirotaya.com/<外部リンク>

 

ほかにもある、旧中山道沿いに点在する人形店

鴻巣を通る旧中山道付近には、技術の高い人形店が多い。ゴールデンウィークから年末までは不定休になる店舗が多いので、訪れる前に電話で確認を。

マル武人形(まるたけにんぎょう)

マル武人形の外観写真

埼玉県伝統工芸モデル工場に指定された1946年創業の老舗人形店です。

 
住所 埼玉県鴻巣市人形2-1-8
交通 JR高崎線鴻巣駅東口から徒歩14分
連絡先 048-541-3517
時間 9時30分~18時
定休日 11月1日~5月3日は年末年始(12月30日~1月3日)をのぞき無休。5月4日~10月末は土・日曜、祝日休
駐車場 20台
URL https://www.marutakeningyou.co.jp/<外部リンク>

 

太刀屋(たちや)

太刀屋(たちや)の外観写真

1834年創業で鴻巣市内きっての歴史を誇る人形店です。

 
住所 埼玉県鴻巣市人形3-1-51
交通 JR高崎線鴻巣駅東口から徒歩20分
連絡先 048-541-0568
時間 9~19時
定休日 不定休
駐車場 5台

 

森田人形製作(もりたにんぎょうせいさく)

森田人形製作(もりたにんぎょうせいさく)の外観写真

着物地や帯地から選び、オリジナルの雛人形を製作しています。

 
住所 埼玉県鴻巣市人形2-1-75
交通 JR高崎線鴻巣駅東口から徒歩12分
連絡先 048-542-8693
時間 11~18時
定休日 11月~5月上旬は正月以外無休(5月連休後~10月は不定休)
駐車場 3台
URL https://www.moritaningyo.com/<外部リンク>

 

人形店を訪れたあとは……

ひな人形についてお勉強しましょう

 

鴻巣市産業観光館 ひなの里(こうのすしさんぎょうかんこうかん ひなのさと)

鴻巣市産業観光館 ひなの里(こうのすしさんぎょうかんこうかん ひなのさと)の写真
鴻巣市産業観光館 ひなの里(こうのすしさんぎょうかんこうかん ひなのさと)の内観写真

大名・牧野家の雛飾りなど鴻巣の歴史を今に伝える展示や、川幅うどんなどの特産品を販売。鴻巣市観光協会が運営しています。

 
住所 埼玉県鴻巣市人形1-4-20
交通 JR高崎線鴻巣駅東口から徒歩15分
連絡先 048-540-3333
時間 9~17時
定休日 水曜
駐車場 30台
URL https://www.konosu-kanko.jp/hinanosato/<外部リンク>

※掲載の内容は2022年12月取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、おでかけの際は事前にご確認ください。
※料金はすべて取材時点の税込料金です。