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鴻巣市の花の歴史
花栽培に適した風土と立地条件
鴻巣市は、東京都心から50キロ圏内の位置にあります。市の中央部を南北に走る中仙道・国道17号線・JR高崎線や関越自動車道・東北自動車道の高速道路の一番近いインターチェンジから車で約30分の距離にあり、交通の便が良いところです。
鴻巣市の花の生産は、寺谷地区から始まりました。この地区の農家は米・麦・野菜の生産を中心に生計を立てていましたが、昭和23年、鴻巣の気候風土に適した花として「パンジー」をいち早くとり入れた先駆者により、花の生産が開始されました。その後、高度成長期からバブル景気への時代の変遷、ガーデニングブームの到来など、昭和から平成の様々な時代の荒波を乗り越え、産地の発展・拡大とともに「花のまちこうのす」の名が全国的に知られるようになりました。
現在、市内の花き生産農家は約150軒を超えており、花の一大産地として発展しました。中でもプリムラ・サルビア・マリーゴールドの出荷量は、日本一を誇っています。
昭和23年 | 鴻巣市寺谷地区〔故〕竹内武之助氏がパンジーを導入、数軒の農家が花生産へ転換 |
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昭和26年 | ワラ編み床でシネラリア生産が始まる |
昭和28年 | ハボタン・矢車草・5色トウガラシ等の生産が始まる(当時17軒) |
昭和29年 | かつぎ出し出荷のほか、車による出荷開始 |
昭33年から37年 | 竹篭に入れ、高崎線にて列車でかつぎ出し販売 |
昭和34年 | ワラ編み床でのシネラリア・桜草の生産拡大 |
昭和37年 | サルビア・マリーゴールド・マツバボタン・コリウス生産開始 |
昭和39年 | パンジー生産全盛期【東京オリンピック開催】 |
昭和42年 | 鴻巣市で初の花市場「埼玉綜合園芸」が国道17号沿い(八幡田地区)に開設 |
昭和47年 | 鴻巣に2つ目の花市場「鴻巣園芸センター」(寺谷地区)に開設 |
昭和48年 |
花の生産者組織「鴻巣花卉園芸組合」(当時74名)で発足 鉢花・花壇苗の山上げ栽培(注釈1)を導入 【鴻巣市の花を「パンジー」に制定】 |
昭和50年 | 露地花から施設園芸(注釈2)へ転換期 |
昭和63年 | 花き市場に隣接した花の直売所「パンジーハウス」が営業開始 |
平成2年 | 大阪花の万博(注釈3)にて鴻巣花卉園芸組合が鴻巣フラワーテリアを出展「花のまちこうのす」の名を全国にアピールする。 |
平成4年 |
オランダフロリアード92(国際園芸博覧会)(注釈4)において埼玉県とともに参加した6色のパンジー1200株の展示が花のコンテストで銅賞に輝く 初めての鴻巣市フラワーフェスティバルが開催 |
平成13年 | 花の産地にある花の公園として「花のオアシス」の整備工事を実施 |
平成14年 |
「花のオアシス」が開園 埼玉綜合園芸・鴻巣園芸センターが合併。鴻巣市との共同出資による第3セクターとして新市場「鴻巣フラワーセンター」(鴻巣花き)が開設 東日本最大級の花市場として営業開始 「パンジーハウス」が農産物直売所としてリニューアルオープン |
平成17年 |
【鴻巣市・川里町・吹上町が合併、新「鴻巣市」誕生】 鴻巣花卉園芸組合・川里花組合が合併し、鴻巣市花組合が発足 花のNPO法人フラワーピースが発足 |
平成19年 |
ジャパンフラワーフェスティバルさいたま2007に出展。フラワーディスプレイ部門にて「花かおる雛の街鴻巣」が農林水産大臣生産局長賞を受賞。鴻巣市はサテライト会場となる 鴻巣オープンガーデン「花の環」が発足し第1回鴻巣オープンガーデンが開催される |
平成20年 | 荒川馬室河川敷のポピー畑が栽培面積日本一として登録される |
平成23年 | 第1回こうのす花まつりが開催される |
令和2年 | 「花と緑の都市宣言」を制定 |
令和3年 | 花いっぱいのまちづくり事業として鴻巣駅から免許センターまでの通り(こうのすフラワーロード)に鴻巣産の花を活用した花の装飾を行う |
用語解説
注釈1「山上げ栽培」
夏季の高温を回避するために高冷地で育苗する栽培方法。山間地の昼夜の寒暖の差が花の生育に非常に良く、高品質な鉢花・花壇苗の早期出荷が可能。しかしながら、「山上げ栽培」は多大なコストと労力を必要とすることから、プリムラ・カランコエを中心に低コストで「山上げ栽培」と同等の効果が期待できる「平地早出し栽培」技術による生産を行っている。
注釈2「施設園芸」
ビニールハウスやガラス室などの施設で、野菜や花をつくる農業を施設園芸という。近年は、換気や潅水などを機械化し自動化するなど、施設の充実が進められている。
注釈3「大阪花の万博」
大阪鶴見緑地で、183日間の会期(1990年4月1日から9月30日)で行われた博覧会国際事務局認定の国際博覧会であり、また大阪園芸博覧会でもある。会場面積は約140ヘクタールで、略称は「花の万博」「花博」「エキスポ90」である。「花と緑と人間生活のかかわりをとらえ21世紀へ向けて潤いのある豊かな社会の創造をめざす」をテーマとし、日本を含む83カ国と55の国際機関、212企業・団体が参加した。総入場者数は2312万6934名で、特別博覧会史上最高を記録した。
注釈4「オランダフロリアード92」(国際園芸博覧会)
フロリアードは、オランダで10年に1回開催される国際的な園芸博覧会でフロリアード2002は、4月5日から10月20日までを会期として、アムステルダムに近いハールレマミーアで開催された。