原口和久市長退任のあいさつ

退任のあいさつ

 私は、昭和52年から平成2年まで鴻巣市職員として、その後、地域の中小企業経営者として、平成7年から鴻巣市議会議員として、そして、平成14年からは鴻巣市長として、5期20年、鴻巣市発展のため、全力でまちづくりに取り組んでまいりました。

 こうして考えてみますと、私の人生の大半は、鴻巣市とともにあり、生まれ育った鴻巣市のまちづくりに長い間携われたことは、この上ない幸せであり、私の誇りでもあります。

 顧みますと、私が市長に就任いたしました平成14年から、これまでの20年間は、社会の転換期にあたり、本当に激動の時代でもありました。

 地方分権や人口減少、少子高齢化の進行をはじめ、インターネットやスマートフォンの爆発的な普及などによる情報化社会の到来などに伴い、市民の皆さんのニーズも年々多様化、高度化し、これらに対応する行政運営が常に求められ、地方自治体も変わらなければ発展できない時代でした。

 私は、市長就任当初から、「行政は最大のサービス業である」との一貫した基本姿勢のもと、市民の皆さんの参加をいただきながら、市政運営に務めてまいりました。これは、今も変わることなく、私のまちづくりの信念として、職員の皆さんにも実践をお願いしてきたところです。

 今では当たり前のことですが、当時の職員の皆さんに、明るく元気な「あいさつ」の励行はもちろんのこと、市民の皆さんの目線による業務遂行をお願いしたことが、今、なつかしく思い出されます。

 私が市長に就任した当時、本市の財政状況は、思っていた以上に深刻な状況でした。

 職員の皆さんも、財政難の中、市政の進展に向け、懸命に努力をしておりましたが、既存の事務事業で人手も財政も手一杯な状況であり、新たな施策を展開することは困難なように見受けられました。

 このような中、市民の皆さんを元気にしたい、笑顔にしたい、職員の皆さんにもやりがいをもって働いていただきたい、そして、鴻巣市を発展させたいと願いながら、21世紀の礎となる「ふるさと鴻巣」を築くための新たな取組を開始しました。

 始めに取り組んだことは、市民参加型の市政運営の構築と事務事業評価を通じた透明性の向上、そして、説明責任への取組です。

 当然のことながら、地方自治の基本は、住民自治と団体自治であり、市民の負託を受けた市長として、市民の皆さんの声を政策として実現し、内容や効果を分かりやすくお伝えすることは、重要なことです。

 このため、市政運営に行政評価を導入し、各種事務事業の評価を通じて事業のスクラップ&ビルド、さらには、評価結果をフィードバックすることにより、時代や市民ニーズに合った事業として発展させ、展開してまいりました。

 事務事業評価などの行政評価は、市長就任当初から行政運営に用いた「ニュー・パブリック・マネジメント」による地域経営には欠かせないツールであり、今や多くの自治体で取り入れられておりますが、当時は、国において導入が議論されていた時期でもあり、先例も少ない状況の中、全国に先駆けて行政評価システムを導入し、現在もすべての事務事業で活用しております。

 また、本市における住民自治の原則を明確にし、行政の情報を共有することにより、市民参加と協働によるまちづくりを推進するため、まちづくりビジョン会議や教育市民会議などを経て、多くの皆さんとともに、「鴻巣市自治基本条例」を制定しました。

 本条例は、現在まで脈々と続く、本市の自治の大原則であり、市民参加による市民のための市政運営を明文化したものとなっています。

 現在、本市は、県央地域の中心都市に位置付けられており、その契機となったのが、平成17年10月1日の鴻巣市、吹上町、川里町との市町村合併です。

 「花かおり 緑あふれ 人輝くまち こうのす」を将来都市像に、新市の速やかな一体性の確立と3地域の均衡ある発展に向け、合併による国や県の財政支援等を最大限に活用し、これまで数多くの事業を推進してまいりました。

 主なものを申し上げますと、新市の玄関口となる鴻巣駅東口、北鴻巣駅西口、吹上駅北口及び南口の駅前整備をはじめ、新市の骨格道路である市道A-1004号線の渋井橋、川里地域と行田市を結ぶ工業団地通線、三谷橋大間線、そのほか、各地域の道路整備、北新宿第二土地区画整理事業及び広田中央特定土地区画整理事業など、新市の都市基盤を重点的に整備することができ、名実ともに県央地域の中心都市として発展しております。

 それぞれの事業については、合併前の1市2町では推進の難しかった事業も数多くあり、合併による人的・財政的なスケールメリットはもちろんのこと、市民の皆さんのご理解とご協力、そして何よりも職員の皆さんのひたむきな仕事により、成し遂げられたものです。

 中でも鴻巣駅東口の再開発は、昭和40年代から続く長年の懸案であり、駅前の発展なくして将来の鴻巣市の発展は望めないと考えておりましたので、私は、「何としてでも推進したい。推進しなければならない。」と固く決意し、全力を尽くしました。

 様々な困難もありましたが、地権者の方々のご理解をいただきながら、合併特例債や補助金等を有効に活用し、後年度の負担を極力抑えた中で事業を推進してまいりました。

 おかげをもちまして、現在は、ショッピングモールや飲食店などの商業施設、図書館やパスポートセンター、市民活動センター、映画館などの公共施設、さらには、人々が集える公園などをバランス良く配置し、新市の玄関口にふさわしい駅前として整備することができ、利便性のみならず、都市景観、防災面も飛躍的に向上し、本市の中心拠点として賑わっている様子を見ると、大変喜ばしく感じています。

 新市のまちづくりでは、合併特例事業はもとより、ハード事業とソフト事業のバランスを保ちながら、総合振興計画に基づき、積極的に施策を推進してまいりました。

 まず、子育ての分野では、全国に先駆けたこども医療費の無料化をはじめ、公立・民間保育所の整備、保育所園庭の芝生化、花いっぱい事業、休日保育や病児・病後児保育、放課後児童クラブ及び放課後子ども教室の充実、切れ目のない子育て相談体制の整備、こうのとり出産祝金など、子育て環境日本一を目指し、数々の子ども・子育て施策を展開してまいりました。

 教育・文化の分野では、学校施設の改築や大規模改修工事による教育環境の整備をはじめ、小学校校庭の芝生化、市独自の教育支援センターの開設、全小学校での自校式給食の開始、中学校給食センターの改築、全国に先駆けて構築した教育ICT 環境の整備、小・中学校適正規模及び適正配置の推進、生涯学習施設の整備など、教育委員会と連携し、教育・文化施策の充実を図りました。

 保健・福祉・医療に関する分野では、健康づくり都市宣言の制定をはじめ、各種健診の充実、健康長寿施策の積極的な推進、鴻巣市民のいのちと心を守る自殺対策条例の制定、国民健康保険の適正な運営、地域福祉、高齢者福祉、障がい者福祉の充実などを図りました。

 安全・安心に関する分野では、東日本大震災、令和元年東日本台風などを教訓に、地域防災力の強化や災害時対応力の向上、消防体制の充実など、防災・減災対策の推進のほか、くらしの安全対策として、交通安全対策の推進、地域防犯体制の強化、消費者トラブルの啓発や相談体制の充実などを推進しました。

 さらに、昨年10月に鴻巣市ゼロカーボンシティ宣言を表明し、脱炭素社会の形成に向けた取組を開始したほか、上水道の安定的な供給、下水道等の整備の推進など、生活環境の整備を図りました。

 都市基盤の分野では、合併特例事業の推進はもとより、生活道路・幹線道路の整備や雨水排水対策、フラワー号やデマンド交通の運行、公園や緑道の整備、花と緑の都市宣言に基づく都市空間の創出、コウノトリ野生復帰センター「天空の里」でのコウノトリの飼育を開始しました。

 産業に関する分野では、鴻巣市企業誘致条例や鴻巣市中小企業及び小規模企業振興基本条例を制定し、企業誘致や企業の定着、雇用の促進を図るとともに、県内有数の農業算出額を誇る農業の支援として、用排水路の改修や担い手の育成、地産地消の推進などを図りました。また、観光交流として、花久の里やひなの里、にこのすを整備し、花やひな人形、地場産品などのPRやにぎわいの創出を図りました。

 市民協働・行政運営に関する分野では、鴻巣市男女共同参画推進条例の制定や鴻巣市パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度の導入をはじめとした人権尊重の推進のほか、市民活動センターの設置、市民活動支援基金の創設、自治会活動に対する支援などにより、地域コミュニティ活動の充実を図りました。

 行財政分野においては、健全な財政運営や人事管理、適正な出納管理はもとより、適切な監査、円滑な議会運営に努めてまいりました。

 また、吹上・川里の支所においては、各地域の身近な窓口として市民の皆さんの利便性向上に努めてまいりました。

 これらの取組により、本市の市民サービスは、年々向上し、現在では、質、量ともに優れ、他市に引けを取らない施策が展開できているものと自負しております。

 一方で、この20年間は、決して平坦な道のりではなく、数多くの困難もありました。

 財政非常事態宣言をはじめ、東日本大震災や令和元年東日本台風、そして、新型コロナウイルス感染症など、これまでに経験したことのない自然災害や感染症のまん延により、市民生活や地域経済に影響を及ぼしています。

 これらを守るための最前線が市町村であり、常に危機管理意識を持ち、有事の際には即応できる組織、職員として、難局に立ち向かっていただきました。

 私は、災害の際、消防団員、また、職員の皆さんの自宅や家族が心配な場合でも、公務を優先し、職員が一丸となって災害対応にあたる状況を見て、本当に頼もしく思い、誇らしく感じていました。

 この20年間を思い起こしますと、私は、鴻巣市長として、市民の皆さんの笑顔、地域の繁栄を願い、市政の発展に向け、市民と共に考え、汗をかき、喜びを分かち合いながら、様々な施策の積極的な展開を通じて、市民の皆さんの満足度向上に全力を傾注してまいりました。

 時には、厳しいことも申し上げたこともあろうかと思いますが、鴻巣市のことを思ってのことですので、ご理解いただければと存じます。

 おかげをもちまして、市民の皆さんの定住意識が大幅に向上しているほか、7年連続で転入者数が転出者数を上回り、本年4月から6月まで人口増加に転じるなど、これまでのまちづくりが高く評価され、成果が着実に現れてきていることは、新市のまちづくりを推進してきた市長として、大変喜ばしく、感慨深いものがあります。

 これまでの20年間のまちづくりを「礎」とし、各施策にさらに磨きをかけ、将来にわたって輝く鴻巣市が実現することを願ってやみません。

 長きににわたり、市長として市政に携わることができましたのも、市民の皆さんをはじめ、関係団体・地元企業、市議会議員、職員の皆さんのご支援、ご協力があってのことであり、心より厚く御礼申し上げます。

 また、市政全般に目を配り、様々な面でご支援をいただいた原副市長におかれましても、私の退任を機に市政運営から退くこととなりました。原副市長は、昭和54年に鴻巣市に奉職され、平成27年から7年有余の間、副市長としての重責を果たしていただきました。これまでのご労苦に対し、敬意を表するとともに、心より深く感謝申し上げます。

 そして、何よりも、毎日、私を送り出し、留守を守ってくれた家内、家族の支えにより、安心して市政に全力で臨むことができました。長い間、苦労をかけました。ここで、あらためて、心からお礼を申し上げたいと思います。本当に、長い間、ありがとうございました。

 結びに、「花かおり 緑あふれ 人輝くまち こうのす」、鴻巣市の益々の発展と皆様方のご健勝並びにご活躍を心より祈念申し上げまして、退任にあたってのあいさつとさせていただきます。

 

 

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更新日:2022年7月31日